花粉症(ノイロトロピン注射)
ノイロトロピン注射とは
ワクシニアウィルスという安全なウィルスを家兎(ウサギ)の皮膚に注射し、炎症を生じた皮膚組織から抽出分離した非タンパク性の活性物質を含有する注射液です。
完全に解明されていないことが多いノイロトロピン注射ですが、主な作用機序としては以下のことがわかっています。
① ノルアドレナリン作動神経、セロトニン作動神経の活性化
② 鼻粘膜ムスカリン作動性アセチルコリン受容体増殖の抑制
この抽出物質は①の作用により下行性疼痛抑制系(痛みを抑える神経)を活性化する事によって疼痛を軽減する事が知られています。その特性を生かして、慢性的に経過する腰痛や肩・首のこり、痛みによく使用されます。
花粉症に関してですが、花粉が飛散するとヒスタミンやロイコトリンなど「炎症を引き起こす物質」が放出されます。これらの物質が鼻粘膜に存在するムスカリン作動性アセチルコリン受容体という部位に結合すると、鼻水やくしゃみなどの症状や咳症状を引き起こしてしまいます。ノイロトロピンを投与すると②の作用により鼻の粘膜にあるムスカリン作動性アセチルコリン受容体の出現を減少させることにより効果を発揮すると言われています。
ノイロトロピン注射の使用方法
週1~2回の頻度で、計6回程度使用するのがおすすめです。症状や効果に個人差がありますので、症状や効果をみながら適宜追加は可能です。
ヒスタグロビンとの併用で相乗効果が期待できますので、併用をおすすめしております。
ノイロトロピン注射の費用
ノイロトロピン注射の費用は保険適応ため3割負担の方で初診では1回1000円程度、再診では1回500円程度となります。ヒスタグロビン注射と併用の場合は初診で1回1300円程度、再診は1回800円程度なります。
抗ヒスタミン薬など内服薬だけではコントロールできない人は、ノイロトロピン注射を検討してみてください。