スギ花粉症の舌下免疫療法(シダキュア)

舌下免疫療法とは

日本では2010年からスギ花粉症に対する舌下免疫療法の臨床試験が行われ、有効性が確認されました。そのため、2014年10月に保険診療が開始されます。
アレルギーを引き起こす原因となる物質であるスギの液体エキスを少しずつ舌下より体内に吸収させて、徐々に増やすことにより、体をアレルギーの原因物質に慣れさせる治療法です (ただし、効果発現のメカニズムは十分に解明されていません)。
スギ花粉症の体質自体を変えてしまう可能性のある画期的な治療法です。

毎日、スギのエキスを舌下に含みます。低濃度のエキスを少量から投与し、少しずつ増量し、高濃度に移行します。3週目以降は同量のスギのエキスを毎日舌下に含んでいただきます。根気のいる治療ですが、多くの方が1年、2年、3年と続けるにしたがってだんだん症状が軽くなってくると言われています。おおむねまず3年間行うのが基本です。

舌下療法による効果

  1. くしゃみ・鼻水・鼻づまりが軽くなるもしくは消失する
  2. 目のかゆみ・涙目が軽くなるもしくは消失する
  3. 花粉飛散期のアレルギー治療薬をあまり使用せずにすむ(或いは全く使用せずにすむ)

舌下免疫療法が推奨される方

スギ花粉症でお悩みの方には、皆さんにお勧めですが、特に下記のような方にお勧めしています。

  1. 飲み薬や点鼻薬等でも症状が軽くならない方
  2. 飲み薬で眠気など副作用がひどい方
  3. 数年以内に妊娠の希望や予定はないが、将来に妊娠した際に薬が使えないのが不安な方
  4. 大学などの受験期がスギ花粉症と重なるので、少しでも症状を軽くしておきたい方

舌下免疫療法が受けれない方

  1. スギ以外のアレルギー性鼻炎の方(必ず、採血検査でスギ花粉症かを確認しなければなりません。)
  2. 12歳未満の方
  3. 重度の気管支喘息の方
  4. 悪性腫瘍(がん)や、免疫系の病気がある方

舌下免疫療法の副作用

<軽い副作用>

50人に一人未満の確率で起きます。

  • 舌の下や口の中の腫れ
  • 口内炎
  • 口の中や、喉のかゆみ
  • 耳、鼻、目、皮膚のかゆみ
  • 頭痛
  • くしゃみ・鼻水・鼻づまり
  • 耳や喉の違和感

<重い副作用>

  • アナフィラキシーショック

可能性として完全に否定はできませんが、非常に稀です。

【 症状 】

  • 突然のショック症状(意識が遠くなる、呼びかけても返事がない、脈が早くなる、不整脈、血圧低下)
  • 呼吸器の症状(声がかれる、胸がしめつけられる、呼吸がしづらい、呼吸がゼーゼー・ヒューヒューする、顔や唇が蒼くなる)
  • 皮膚症状(全身が赤らむ、顔がはれる、蕁麻疹など)
  • 目の症状(よく見えない、視野が狭くなった)
  • 胃痛が続く、嘔吐が続く

舌下免疫療法の具体的な流れ

  1. 外来を受診して下さい(予約の必要ありません)
    まずスギ花粉症であること、免疫療法の適応であることなどの診断が必要です。
    採血(特異的IgE抗体検査)などの検査で診断をします。
    まずは初診していただき、説明を聞いて検査を行ってから舌下免疫療法を検討していただくようにお願いします。まず検査を行うので、初診の日に舌下免疫療法を開始することはありません。
  2. 再診時(予約制)に舌下免疫療法の初回投与を当クリニックにて行います。
    投与した後は30分間、待合室で経過を見ます。初めて投与する日は時間がかかりますのでスケジュールに余裕をもってお越しください。
    (受付、説明、診察、投与、投与後30分の経過観察、会計=約1時間30分程度)

開始時期

スギ花粉の飛散が始まる直前や飛散時期に治療をすることができません。
治療は6月~11月の間にスタートします。(12月から5月は治療開始できません)

毎日投与

スギ花粉が飛んでいないシーズンも毎日投与していただく必要性があります。

継続期間

最低でも3年以上は治療を継続してください。通常、治療期間は3~5年です。

シダキュアの服薬スケジュール

最低でも3年以上は治療を継続してください。通常、治療期間は3~5年です。
2015年9月までは2週間に一度の通院が必要です。2015年10月からは1カ月に1度通院してください。

シダキュア服薬手順

①ミシン目にそって、しっかりと折り曲げ、切り離してくだい。

②うら面の「はがす」部分からはがしてください。お薬がやわらかく、割れることがあるため、シートをはがさずに押し出さないでください。

③爪を立てずに指の腹で下から押して、お薬を取り出してください。欠けたり割れたりした場合、それらも一緒に服用してください。

④舌の下にお薬を置き、1分間保持した後、飲み込んでください。舌の下に置くとすぐ唾液で溶けてなくなりますが、唾液はすぐに飲み込まず、1分間舌の下に保持してください。

⑤その後5分間は、うがいや飲食をしないでください。

治療費の目安

料金はクリニックと調剤薬局での合計金額の目安は月2,500円くらいです。