定期健康診断(労働安全法に基づく健康診断)

診察

  • 医師の質問に答えて健康状態を確認する検査項目です。できるだけ正確に医師に伝えることが大切です。
    問診は、あらかじめ記入した問診票をもとに行います。問診票には、検査前日や当日の飲食状況や体調をはじめ、最近の健康状態や気になる症状、嗜好、喫煙歴、服薬歴、本人や家族の既往歴など、様々な質問項目があり、この答えをもとに医師が質問し、検査の参考にします。

計測(身長、体重、標準体重、腹囲、肥満度BMI)

  • 身長、体重、腹囲を計測することで、肥満ややせの程度を調べる検査項目です。
    肥満は、動脈硬化・高血圧・脂質異常症・糖尿病など生活習慣病の病気が潜んでいる可能性があります。やせすぎは、消化器系や代謝・内分泌系の病気が潜んでいる可能性があります。
    標準体重算出方法 身長(m)×身長(m)×22 =あなたの標準体重
  • 腹囲は、おへその位置で水平に測定します。男性:85cm未満 女性:90cm未満
  • BMIは、身長と体重を測定し、肥満かどうかなどを判定します。メタボリックシンドローム該当者判定、特定保健指導の階層化に使われる項目です。18.5~25未満(標準値22)
    BMI算出方法 体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)=あなたのBMI値

視力検査

  • 視力の検査は、主に近視や遠視、乱視といった屈折異常を調べる検査です。
    また、急な視力の低下など、年齢とともにかかる確率が高くなる白内障などの診断にも役立ちます。検査方法は、視力検査器を用いて、片目ずつ、裸眼視力とコンタクトレンズや眼鏡を使用した矯正視力の双方(または矯正のみ)を測定します。
    受診者はアルファベットの「C」のような記号の切れ目が上下左右どちらにあるかを答えていき、どの大きさまでみえるかを調べます。

眼科検査

  • 視力検査は、物が見えづらい、二重に見える、左右の視力バランスが悪い等の症状がある時に、行なわれる検査です。遠視、近視、乱視などの屈折異常の検出と、その状態をレンズによって矯正することをいいます。レンズを入れないで測った時の視力を裸眼視力、レンズで矯正した視力を矯正視力といいます。
  • 眼底検査は、瞳孔の奥にある眼底を眼底カメラで撮影し、眼底の血管、網膜、視神経等を調べる検査です。眼底とは眼球の後内壁面を覆う網膜のことで、瞳孔を通して観察し写真撮影することができます。私たちは網膜の働きでものを見ますので、その出血や変性などは重大な所見です。また、糖尿病性網膜症や緑内障などの失明に至る恐れのある病気を早期に発見できます。さらに、眼底にある動脈を観察して、高血圧性変化や動脈硬化の程度を調べます。
  • 眼圧検査とは、裸眼の状態で眼に空気を吹き付けて眼球内の内圧を測定する検査です。

聴力検査

  • 簡易聴力検査は、聞こえの機能、いわゆる難聴を調べ、機能の不調がわかり、耳の病気の発見できる 検査です。低周波の音(1000Hz)と高周波の音(4000Hz)それぞれを一定音量ずつ上げて耳の聞こえをチェックします。
  • 精密聴力検査は、通常の聴力検査とほぼ同じですが測定する音域が500、1000、2000、4000Hzとなっていて、音の高さ別に、聞き取れる一番小さい音を測定していきます。

血圧測定検査

  • 血圧は、血液が流れることによって血管の内壁にかかる圧力のことをいいます。
    心臓に溜まった血液は、心臓が収縮することで血管へ送り出されます。このときの血圧を 収縮期血圧(最高血圧)といいます。全身から戻ってきた血液で心臓が拡張したときの血圧を拡張期血圧(最低血圧)といいます。
    高血圧は、心筋梗塞・脳卒中を招く動脈硬化や腎臓病等の発症に関与しています。そこで血圧検査では、手動式や電子式の血圧計で上腕部を測定することで、高血圧(または低血圧)の有無を調べ、異常がないかを知る手がかりとします。

肺機能検査

  • 肺機能検査は、息を吸ったり吐いたりして肺の能力を調べる検査です。
  • 肺活量は、胸いっぱい空気を吸い込んだところから最後まで吐き出したときの空気の量のことです。
  • 1秒量は、努力性肺活量のうち、最初の1秒間に吐き出した息の量です。
  • 1秒率は、努力性肺活量に対する 1 秒量の比率を調べます。

尿一般検査 腎機能検査

  • 蛋白は、慢性腎臓病、腎炎、尿路感染症など腎臓や尿路等の病気発見の手がかりになります。
  • ウロビリノーゲンは、急性・慢性肝炎や胆管結石など肝臓や胆のうの疾患を疑います。
  • 潜血は、膀胱炎、腎臓や尿管の結石など尿の通り道に異常があると、尿の中にわずかに赤血球が混じることがあります。
  • 尿沈渣は、尿を遠心分離機にかけ、沈澱した赤血球や白血球、尿酸結晶、細胞、細菌などの固形成分の量を種類を調べる検査です。
  • 尿素窒素は、血液のなかの尿素に含まれる窒素成分のことで、蛋白質が利用された後にできる残りかすです。通常は腎臓でろ過されて尿中へ排出されますが、腎臓の働きが低下すると、ろ過しきれない分が血液のなかに残ります。つまり、尿素窒素の数値が高くなるほど、腎臓の機能が低下していることを表しています。
  • クレアチニンは、腎臓でろ過されて尿として排出されるため、血中のクレアチニンの濃度が上昇していることは腎臓の機能が低下していることを表しています。
  • eGFRは、血清クレアチニン値をもとに、年齢・性別を考慮して算出した糸球体濾過量のことで、腎機能の評価に使われます。腎臓にどれくらい老廃物を尿へ排泄する能力があるかを示しており、この値が低いほど腎臓の働きが悪いということになります。

血液一般検査

  • 白血球数は、体内に侵入した細菌やウィルスなどの異物から、からだを守る免疫機能の中心的な役割を担っています。
    体内に異物が侵入したときや、白血球を作る骨髄に異常が起きたときは、白血球が急激に増加します。また、白血球を作る細胞のはたらきが低下しているときは、白血球が減少します。
  • 赤血球数は、血液中の血球成分の1つで酸素を運ぶ働きがあります。通常、血液中の赤血球はある一定量に保たれていますが、なんらかの原因で赤血球が減少すると、酸素運搬機能が低下して貧血となります。また、赤血球が増加すると多血症となり、血管の流れがわるくなります。そこで、この数値を調べると貧血などを見つける手がかりになります。検査は血液を採取して血液中の数値を測ることで異常の有無を調べます
  • 血色素量(ヘモグロビン)は、赤血球中の赤い色素の成分です。酸素と結びつく性質を持っており、ヘモグロビンは酸素運搬機能をもっとも反映する数値でもあります。そのため、赤血球数が正常値でも、ヘモグロビンが不足していると貧血になります。そこで血色素測定検査は、採取した血液の赤血球中のヘモグロビンの割合を調べることで、貧血の有無を判定します。
  • ヘマトクリットは、一定量の血液の中に含まれる赤血球の容積の割合をいいます。ヘマトクリット値検査ではこの割合を調べることで、主に「貧血」の有無が分かります。また、赤血球数とヘモグロビン、ヘマトクリットの3つのデータを分析することでどんな種類の貧血が疑われるか、おおよその見当がつきます。検査は、血液を採取して血液中の赤血球の割合を調べます。
  • MCV MCH MCHC は、赤血球数・ヘモグロビン・ヘマトクリットの検査データから、赤血球の平均的な大きさ(MCV)、赤血球1個あたりの平均ヘモグロビン量(MCH)、赤血球中の平均ヘモグロビン濃度(MCHC)を算出します。その数値から、どんな種類の貧血が疑われるかを判断しています。
  • 血小板は、血管が破れて出血した際、その血管が再生するまで傷口を塞いだり、血液が固まるように働きかけ、出血を止める役目を果たします。この血小板が増えすぎると、血栓という血の塊ができやすくなり、血管が詰まりやすくなります。逆に少なすぎると、出血した際に血が止まりにくくなります。
  • 血液像は、白血球の数値異常などが原因の病気を調べるとき、好中球、好酸球、好塩基球、単球、リンパ球からなる白血球(分画)の割合を抽出して、どの分画に異常があるのか調べます。

代謝検査

  • 尿糖は、糖尿病、腎性糖尿などで陽性となります。尿糖が陽性でも糖尿病とは限らず、血糖値等によって判定する必要があります。
  • 血糖は、血液中に含まれるブドウ糖のことです。からだは、血糖を主なエネルギー源として活動しています。血糖値は食事をとると上昇し、その後、時間の経過とともに低下します。こうした血糖値の変動は、通常、ある一定の範囲内にまっていますが、糖尿病予備群(耐糖能異常)・糖尿病の場合は一定の範囲を超えてしまいます。そこで、空腹時の血糖値を調べることが糖尿病などを見つける手が"かりになります。検査は10時間以上絶食した後の空腹時の血液を採取して血糖値を測り、異常の有無を調べます。
  • HbA1c は、血糖値が高い状態が続くと、血液中のブドウ糖とヘモグロビン(赤血球の色素成分)が結合し、グリコヘモグロビン(HbA1c)ができます。したがって血糖値が高い状態が長く続くほど、グリコヘモグロビンも多くなっていきます。そこで、赤血球中のグリコヘモグロビンの比率を調べると過去1~2ヵ月間の血糖値の状態を知ることができ、糖尿病などの手がかりになります。
  • 尿酸とは、細胞が生まれ変わる際につくられるプリン体という物質が分解されてできた最終代謝産物です。通常、尿酸は尿といっしょに排泄されますが、尿酸が過剰につくられたり、うまく排泄されなくなると、血液中の尿酸値が高くなります。尿酸値が高い状態(高尿酸血症)を放置していると、尿酸が結晶化し、関節部などにたまって炎症を起こし、激痛を伴う発作(痛風発作)が起きます。

肝機能検査

  • AST(GOT)は、GOT(グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)は、AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)とも呼ばれ、肝細胞をはじめ、腎臓や心筋(心臓の筋肉)の細胞内に多く含まれている酵素です。この酵素はタンパク質を分解してアミノ酸をつくり、からだの代謝がスムーズに行われるための重要な役割を担っています。しかし、肝細胞や心筋の細胞内で何かしらの障害が起こると、血液の中にGOTが流れ出し、数値が高まります。そこで、この数値を調べると肝機能障害や心筋梗塞などを見つける手がかりになります。検査は血液を採取して血液中の濃度を測ることで異常の有無を調べます。
  • ALT(GPT)は、GPT(グルタミン酸ピルビン酸 トランスアミナーゼ)は、ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)とも呼ばれる肝細胞に多く含まれている酵素で、GOT(AST)と同様にアミノ酸をつくり、代謝を助ける役割を担っています。肝臓や胆汁(肝臓が作る消化液)が流れる胆道に障害が起こると敏感に反応し、血液中の数値が高くなります。そこで、この数値を調べると肝機能障害を見つける手がかりになります。検査は血液を採取して血液中の濃度を測ることで異常の有無を調べます。また、病気の種類や程度は、検査結果ででたGPTとGOTの数値を比較して検討します。
  • γ-GTPは、肝臓、腎臓、すい臓、小腸などに含まれている酵素です。肝臓の機能にはアルコールや薬剤などを無害化するはたらきがあります。この無害化に重要なグルタチオンという物質のはたらきを、γ ‒GT という酵素が助けます。お酒を飲み過ぎる人や脂肪分を多く食べている人は、数値が高くなります。また、胆石などで胆道が塞がり、胆汁(肝臓が作る消化液)が流れにくくなると、血液中にγ‒GT があふれ出てきます。そこで、この数値を調べると肝機能障害を見つける手がかりになります。検査は血液を採取して血液中の濃度を測ることで異常の有無を調べます。
  • ALP(アルカリフォスファターゼ)は、肝臓や胆道、骨、小腸、腎臓などに含まれる酵素です。普段は胆汁とともに排泄されますが、肝臓障害や胆道の病気で胆汁が排泄されなくなると血液中にあふれ出てきて数値が高くなります。そこで、この数値を調べると肝機能障害を見つける手がかりになります。検査は血液を採取して血液中の濃度を測ることで異常の有無を調べます。また、骨や甲状腺に障害が起こっているときも数値が上がるので、それらの病気の指標にもなっています。
  • LDHは、肝臓、心臓、血液、骨格筋など、からだのほとんどに含まれている酵素で、体内のブドウ糖がエネルギーに変わるときに働きます。なんらかの原因で細胞がダメージを受けると血液中にあふれ出てきて数値が高くなります。そこで、この数値を調べると肝機能障害や心筋梗塞などを見つける手がかりになります。検査は血液を採取して血液中の濃度を測ることで異常の有無を調べます。LDHが異常値を示したときには、他の検査項目の結果と総合して異常個所を特定します。
  • 総ビリルビンは、寿命がつきた赤血球が肝臓などで壊され、それをもとに作られる色素です。胆汁色素とも呼ばれ、胆汁の主成分となっています。普段は胆汁とともに排泄されますが、肝臓障害や胆道の病気で胆汁が排泄されなくなると血液中にあふれ出てきます。ビリルビン色素が血液中に増えると黄疸になり体が黄色になります。そこで、この数値を調べると肝機能障害を見つける手がかりになります。検査は血液を採取して血液中の濃度を測ることで異常の有無を調べます。
  • 総蛋白は、血液から赤血球などの血球成分を取り除いたものを血清といいます。血清中には100種以上の蛋白が含まれ、それらを総称して総蛋白といいます。これら多くの蛋白を作っている肝臓の機能や、血液中のたんぱく質を再吸収している腎臓の機能が低下すると、血清中の総蛋白量も低下してしまいます。そこで、この数値を調べると肝機能障害や腎機能障害を見つける手がかりになります。検査は血液を採取して血液中の量を測ることで異常の有無を調べます。また、ウイルスによる感染や栄養状態を知る手がかりになります。
  • アルブミンは、血清中の蛋白の半分以上を占めています。あらゆる病気の原因で数値は減少しますので、アルブミンだけでは病気の特定はできませんが、その減り方の度合いから、病気の程度を調べるのに用いられます。一般的には、異常値を示したとき腎機能障害や肝機能障害が疑われます。
  • ZTTは、血清中のたんぱく質の性質を調べる検査です。血清たんぱくの多数が肝臓でつくられるため、異常があれば、肝臓のどこかに障害が起こっていることが疑われます。
  • A/G比は、血液中に含まれる蛋白である、アルブミン(A)とグロブリン(G)の量の比率を示します。血清総蛋白が基準範囲内の場合でも、基準範囲外を示し、総蛋白の値だけでは推測できなかった疾患の可能性をA/G比を測ることによって見つける手がかりになります。ただし、この値から原因疾患を特定することはできませんので、病気の程度を知るために使われることが多い検査項目です。

脂質検査

  • 総コレステロールは、胞を包んでいる細胞膜の構成成分です。細胞は細胞膜を介して栄養分のやりとりをしているため、コレステロールが不足すれば、この機能がうまく働かなくなってしまいます。また、コレステロールは、ホルモンや胆汁酸、ビタミンKの材料になっており、健康維持に不可欠なものです。血液中では、コレステロールはVLDLD、LDLあるいはHDLとして運ばれますが、この血液中のコレステロール、特にLDL-コレステロール(悪玉コレステロール)が多くなると、動脈硬化等を進める原因となります。そこで、この数値を調べることが動脈硬化をはじめとするさま ざまな病気を見つける手がかりになります。検査は血液を採取して血液中の数値を測り、異常の有無を調べます。
  • 中性脂肪は、体内にある脂肪の一種です。食事から摂取されたエネルギーの一部は、中性脂肪としていったん体内に貯蔵され皮下脂肪や内臓脂肪となり、体温保持や体を守るクッションの役割を果たします。普段は体を動かすエネルギー源として糖質が使われていますが、糖質が不足すると、蓄えら れていた中性脂肪で補助します。しかし、使われなかった中性脂肪が増えすぎると、動脈硬化の原因になります。そこで、この数値を調べることが動脈硬化をはじめとするさまざまな病気を見つける手がかりになります。検査は血液を採取して血液中の数値を測り、異常の有無を調べます。
  • HDL-コレステロールは、肝臓で作られたコレステロールは、そのままでは血液中に溶けること結合して「リポたんぱく」という粒子をつくって全身の血液中を移動しています。コレステロールができないため、たんぱく質との運搬役であるリポたんぱくには、「LDL(低比重)リポたんぱく」と「HDL(高比重)リポたんぱく」があります。そのうち、HDLに含まれるコレステロールを「HDL-コレステロール」と呼んでいます。HDLは、LDL が全身へ運んだコレステロールのうちで細胞が使いきれなかったものや動脈の壁に付着しているコレステロールを回収して肝臓へ戻す働きがあり、「善玉コレステロール」と呼ばれています。しかし、HDLが少なすぎると動脈の壁に付着しているコレステロールを回収しきれず、動脈硬化を起こし、やがては血液の通り道を塞いでしまうことがあります。そこで、この数値を調べることが動脈硬化をはじめとするさまざまな病気を見つける手がかりになります。検査は血液を採取して血液中の数値を測り、異常の有無を調べます。
  • LDL-コレステロールは、「LDL(低比重)リポたんぱく」には、肝臓で作られたコレステロールを全身へ運ぶ働きがあります。このLDLに含まれるコレステロールを「LDL-コレステロール」と呼んでいます。しかし、LDLが増えると、血管壁に溜まってしまいます。溜まったコレステロールが、動脈硬化の促進要因になることから、「悪玉コレステロール」と呼ばれています。そこで、この数値を調べることが動脈硬化をはじめとするさまざまな病気を見つける手がかりになります。検査は血液を採取して血液中の数値を測り、異常の有無を調べます。
  • non-HDLコレステロールは、総コレステロールからHDLコレステロールを引いたものです。血液中にはLDLコレステロールとは別のコレステロールがひそんでおり、それらを含めたすべてのコレステロールの量の数値を測り、異常の有無を調べます。

膵臓機能検査

  • 血清アミラーゼは、血液中に含まれる消化酵素の一種「アミラーゼ」のことです。人体では主に唾液腺と膵臓から分泌されています。これらの臓器がダメージを受けると血液中に多くのアミラーゼが放出されるため、血清アミラーゼ濃度が上昇します。

感染症検査

  • HBs抗原、HBs抗体は、B型肝炎ウイルスに感染しているかを調べる検査です。HBs抗原はB型肝炎を引き起こすウイルスです。それに対し、HBs抗原に反応して免疫作用をもつ物質がHBs抗体です。血液からこれらの物質を抽出し、肝炎ウイルスによる感染症の有無や肝硬変、肝臓がんなどの肝臓障害のリスクを調べます。
  • HCV抗体は、C型肝炎ウイルスの感染を調べる検査です。C型肝炎は慢性肝炎から肝硬変、肝臓がんへと進行するケースが多い肝臓病で、C型肝炎ウイルスの感染によって起こります。C型肝炎ウイルスに感染すると、HCV抗体が血液中に作られます。HCV抗体の存在が確認されると陽性となり、C型肝炎に感染していると考えられます。
  • 梅毒RPR、梅毒TPHAは、菌に感染して起こる梅毒を調べる検査です。梅毒に一度かかると常に陽性を示します。結核や膠原病などでも陽性を示すことがあります。
  • RFは、リウマチの検査です。リウマチ因子の数値を調べます。
  • CRPは、リウマチの検査です。C-反応性タンパクの数値を調べます。

血液型

  • 血液型は、ABO式血液型 分類法の一種。ヒトの場合はA、B、O、ABの4型に分類する。Rh式血液型は、D、E、C、c、eなどいくつかの因子があり、このうち「D」の因子を持つ場合を「Rh(+)」、持たない場合を「Rh(-)」と言います。

大腸癌検査

  • 免疫学的便潜血検査は、大腸など下部消化管の潰瘍やポリープ、がんの有無を調べる検査です。大腸などの消化管に出血があると、便に血が混じります。しかし、微量な血液は肉眼では確認できません。採取した便に試薬を使い、その変化から出血しているかどうかを調べます。

細菌検査

  • 赤痢菌、サルモネラ菌、O-157は、腸内細菌検査、食中毒の検査です。

腫瘍マーカー

癌には多くの種類があります。それぞれの癌に特徴的な物質が産生されます。そのような物質を腫瘍マーカーと呼びます。すでに癌を患っている患者さんの経過を見ていくために使われている検査です。癌があるかどうかを見つけるための検査ではなく、癌の勢いを見る検査です。腫瘍マーカーの値が異常だからといって、必ず癌が存在するわけではない。腫瘍マーカーの値が正常だからといって、必ず癌が存在しないわけではない。癌以外の病気や薬剤の影響などでも腫瘍マーカーが異常値となることがあります。病気以外でも、ヘビースモーカーの方や妊娠されている方でも異常値となる場合があります。異常値だからといって、癌があるかどうかは、精密検査を受けてからの判定となります。

  • PSAは、前立腺癌に特異性の高い腫瘍マーカーです。血液中にある前立腺に特異的なタンパク質の一種の値を測定します。精度が高いスクリーニング検査です。
  • CYFRA(シフラ)は、肺癌に特異性の高い腫瘍マーカーのスクリーニング検査です。また、乳癌や卵巣癌などでも高値を示すことがあります。
  • CA19-9は、膵臓癌、胆管癌、胆嚢癌、胃癌、大腸癌などの消化器系の癌に特異性の高い腫瘍マーカースクリーニング検査です。また、子宮体癌、卵巣癌、肺癌でも高値示すことがあります。
  • CEAは、大腸、消化管、肝臓、肺、胆道などに特異性の高い腫瘍マーカースクリーニング検査です。高値を示す場合には消化器系の癌の可能性が疑われますが、癌があってもCEAが上昇しない場合や、炎症性の消化管疾患、肝硬変、腎不全、糖尿病など他の病気の影響で高値を示す場合もあります。また、高齢者や喫煙者では特に病気でなくても高値になることもあります。
  • AFP(α-フェトプロテイン)は、肝臓、慢性肝炎、肝硬変、先天性胆道閉鎖症、睾丸腫瘍、異性などに高い腫瘍マーカースクリーニング検査です。また、急性肝炎や肝硬変の治癒期にも、高値示すことがあります。
  • CA125は、卵巣、膵臓、胆道などに特異性の高い腫瘍マーカースクリーニング検査です。また、卵巣癌以外にも子宮内膜症や子宮筋腫、子宮癌、良性卵巣腫瘍などの婦人科系疾患、膵炎や膵癌、胆のう炎、腹膜炎などの病気によっても高値を示すことがあります。
  • CA15-3 は、乳、卵巣などに特異性の高い腫瘍マーカースクリーニング検査です。
  • SCCは、扁平上皮,食道、子宮頚、皮膚 、肺、頭頚部などに特異性の高い腫瘍マーカースクリーニング検査です。また扁平上皮にも存在しているため、アトピー性皮膚炎や天疱瘡、乾癬などの皮膚疾患、気管支喘息や気管支炎、肺炎、結核などの肺疾患、腎不全、透析患者、長年の喫煙者などでも高値になることもあります。
  • NSE(神経特異性エノラーゼ)は、肺、甲状腺、褐色細胞腫、脳腫瘍、神経芽細胞腫などに特異性の高い腫瘍マーカースクリーニング検査です。また重症の呼吸不全や髄膜炎、頭部の外傷、脳血管障害などの良性の病気や人工透析などでも、高値示すことがあります。スクリーニング検査です。

ABC検診

  • ペプシノーゲンは、は胃粘膜から分泌される物質で、粘膜が委縮した状態になると低下するため、膜の萎縮度(老化度)をみることができます。萎縮性胃炎になると胃がんになるリスクが非常に高くなるため、胃癌のスクリーニング検査です。
  • ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)は、胃がピロリ菌に感染していないかを調べる検査です。
  • ABC分類とは、血液検査で胃がんにかかる危険性を評価するとともに、ヘリコバクターピロリ菌(以下ピロリ菌)の罹患の有無を確認する検査です。

胸部X線検査

  • 胸部全体にX線を照射して平面撮影し、肺に異常な影があるかどうか、心臓の形、左右の肺、肺結核、肺炎、気管支炎などの肺の炎症、肺気腫、気胸、胸膜炎、肺線維症、心臓病、心肥大、胸部大動脈瘤など異常について調べます。

胃部X線検査

  • 食道、胃、十二指腸までの疾患の有無を調べます。胃癌の早期発見などに効果的な方法です。二重造影法、圧迫法などの方法でX線撮影し、臓器の形の変化や異常について調べます。

心電図検査

  • 心臓の筋肉から発生する微弱な電気信号を拾い上げ、波形として記録したものです。収縮するリズムの乱れ・心筋の虚血の有無により、不整脈・虚血性心疾患・狭心症・心筋梗塞・心肥大・心筋症・心不全・心房細動などについて調べます。

腹部超音波

  • 高周波の超音波は、臓器や組織の境目で反射する性質があります。この性質を利用したのが腹部超音波検査です。からだに超音波をあて、返ってくる反射波をコンピュータによって画像化して肝臓、胆のう、腎臓、膵臓、脾臓といった腹部の臓器・組織などについて調べます。

腰椎検査

  • 腰椎検査は、脊柱、姿勢異常、脊柱の変形、脊柱の可動性、疼痛、腰背筋の緊張および圧痛、脊椎棘突起の圧痛などについて調べます。

MRI検査

  • MRI検査は、強力な磁石でできた筒の中に入り、磁気の力を利用して体の臓器や血管を撮影する検査です。脳の疾患、脳血管の破裂、脳動脈瘤、脳梗塞、脳腫瘍などについて調べます。

乳癌検診

  • 乳房X線検査(マンモグラフィー)は、触診では見逃されがちな乳癌、乳腺症、乳腺線維腺腫 も発見でき、乳がんの診断に有効な検査とされています。検査は専用の装置を使って、乳房を透明なプラスチックの板に挟んだ状態でX線撮影を行い、その画像から乳がんの有無を調べます。

子宮頸癌

  • 子宮頸部細胞診(スメア方式)は、子宮癌はできる部位によって「子宮頸癌」と「子宮体癌」に分けられます。「子宮頸癌」は子宮の入り口(頸部)に発生するがんで、子宮癌全体の約7割を占め、比較的若い世代で多く発症していることが特徴です。子宮頸部細胞診は、子宮頸癌を発見するためのふるい分け検査として行われます。検査は子宮頸部付近の細胞を綿棒などでこすりとり(スメア方式という)、顕微鏡で癌細胞の有無を調べます。また、この検査は正常な細胞と比較して評価・診断するので、細胞が癌化する一歩前の前癌状態(異型細胞)を見つけることもできます。